写真の向こうにあるもの 〜競売物件を通じて感じたこと〜
最近、マイレ不動産でも競売不動産の取り扱いを始めました。
この分野は、これまで以上に社会的な責任と誠実さが求められる領域です。
そして実際に現地資料や室内写真を見ていると、一つひとつの物件の背景に
確かに“人の暮らし”があることを感じます。
はじめに
不動産の仕事をしていると、日々多くの「物件」と向き合います。
しかし、その一つひとつの裏には、必ず「人の生活」があります。
競売物件の3点セット(裁判所が公開する「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」のこと)
を見ていて、久しぶりに胸が締めつけられるような感覚になりました。
写真に写っていたのは、生活の途中で止まってしまった部屋。
家具やカレンダーが残り、まだ人の気配がある空間でした。
感情を持つことは、プロとしての弱さではない
正直に言えば、最初は「こんな気持ちになるのはプロとして失格なのでは」と思いました。
しかし、少し時間をおいて冷静に考えると、この“感じる心”こそが、自分の仕事の原点だと気づきました。
誰かが事情を抱え、手放すことになった不動産。
そこに、次の誰かが新しい生活を築く。私たちの仕事は、その橋渡しをすることです。
再生というもうひとつの価値
競売物件の仕事は、単に“安く買う”ことではありません。誰かの過去を引き継ぎ
そこに新しい価値を与える「再生の仕事」です。リフォームを施して再び市場に出すことで
空き家だった建物が地域の一部として息を吹き返します。
古い建物の命をもう一度灯す──そう考えると、この仕事には静かな社会的意義があります。
おわりに
競売物件の写真を見て感じた胸の痛みは、きっとこれからも消えないと思います。
けれど、その痛みを大切にしたいと思います。
なぜなら不動産の本質は「人の人生をつなぐこと」だからです。
買う人、売る人、住む人、手放す人。そのすべての人の間に、誠実な橋をかけていくこと。
それが、私がマイレ不動産として目指す形です。
そして、もし経済的な理由などで不動産の維持が難しくなった場合は
できるだけ早い段階でご相談いただきたいと思っています。
競売という形になる前に、任意売却という選択肢を検討することで
より良い条件での解決や、次の生活への再出発をお手伝いできることがあります。
私たちは「再生の視点」で不動産と向き合い
その人にとって最も前向きな選択を一緒に考えていきたいと思っています。
※本稿は、不動産実務を通じて感じた個人的な所感です。

