空き家問題の本当の原因は「住宅余り」ではない?――900万戸時代に考える、不動産の“意思決定”問題
「全国の空き家が900万戸を超えた」
最近、ニュースや新聞でよく目にする話題です。日本の住宅の約7戸に1戸が空き家という時代になりました。
空き家問題というと、「人口減少」「地方の過疎化」「高齢化社会」が原因だと言われがちですが、実は都市部でも空き家は増えています。
つまり、単純に「住む人がいないから空き家になる」という話ではないのです。
特に注目すべきなのが、空き家の中でも「賃貸予定なし」「売却予定なし」の、いわゆる「その他の空き家」が4割以上を占めているという点です。
これは、「売れない家」が多いというよりも、「動かしたくても動かせない家」が増えていることを意味しています。
実際、不動産の現場でもよくある話です。
親御さんが高齢になっても、
・まだ元気だから
・思い出があるから
・子どもに悪い気がする
と、自宅の売却や住み替え、建て替えの判断が先送りになります。
そして、いざ相続が発生すると問題は複雑になります。
相続不動産では、相続人が複数人になるケースが非常に多くあります。
すると、
「売りたい人」
「残したい人」
「とりあえず放置したい人」
で意見が分かれます。
しかも、不動産は共有名義になると、原則として全員の同意がなければ売却できません。
結果として、多くのケースで最も選ばれやすい選択肢は、
“何もしない”
です。
固定資産税も住宅用地の特例があるため、持ち続けるコストは思ったほど高くありません。
そのため、
「今すぐ困らないから、そのまま」
となり、住宅が市場から消えていきます。
空き家問題の本質は、住宅不足や供給過多ではなく、「意思決定が止まりやすい制度構造」にあるのかもしれません。
これまでは、
・老朽化した空き家の解体補助
・行政代執行
・管理不全空き家への指導
など、「空き家になった後」の対策が中心でした。
しかし、本当に必要なのは、
“空き家を処理する政策”から、“空き家を生まない政策”への転換
ではないでしょうか。
「住み続けるのか」
「売却するのか」
「賃貸にするのか」
を、元気なうちから家族で話しておく。
これは非常に大切です。
不動産は現金と違い、放っておいて自然に分けられるものではありません。
判断能力があるうちに、
・遺言
・任意後見
・家族信託(民事信託)
などを活用し、
「誰が管理するのか」
「売る時はどうするのか」
を決めておくことで、相続後の“動かない不動産”を防ぎやすくなります。
「兄がやると思っていた」
「いや、弟がやると思っていた」
というケースは珍しくありません。
実際には、管理者不在で建物が傷み、資産価値が下がってしまうことも多いです。
誰が窓口になるのかを決めるだけでも、大きな違いがあります。
私たちマイレ不動産では、相続案件や空き家相談を数多くお手伝いしていますが、強く感じるのは、空き家問題は「発生後」よりも「発生前」の準備が重要だということです。
相続が始まってからでは、
・共有名義による意思決定の難しさ
・相続人間の調整
・成年後見や売却手続き
・室内残置物や管理の問題
など、課題が一気に増えてしまうケースも少なくありません。
だからこそ、元気なうちに、
「この家を将来どうするか」
「誰が管理を担うのか」
「売却する場合はどう進めるのか」
を、家族で少しずつ話しておくことが、将来の負担を減らす大きな一歩になると感じています。
「まだ先の話だから」と思えるタイミングこそ、実は一番相談しやすい時期かもしれません。
相続や空き家についてお悩みの方は、お気軽にマイレ不動産までご相談ください。

